人間の暗闇―ナチ絶滅収容所長との対話(2)

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#これもまたテーマとは関係なく、東京・練馬の石神井川沿いの桜。FinePix F31fdで撮影。

以下、特に断りのない限り、引用は
人間の暗闇―ナチ絶滅収容所長との対話」から行っている。

フランツ・シュタングルはオーストリア人で、もともと警察官だった。ドイツによるオーストリア併合後、赴任してきた上司と合わず、また、自分が要射殺リストにあげられているかもしれないとの不安にも駆られ、結局、ハルトハイムの安楽死センターで警備の仕事に就く。その後、オーストリアに戻って再び合わない上司と、いつ粛清されるか分からない状態で仕事をするか否かの選択となり、「戻るくらいなら」とポーランド行きを選ぶ。しかし、ポーランドのルブリンについた後行かされた、ベウジェッツで見たのはユダヤ人の大量の死体だった・・・

結局、ユダヤ人大量虐殺を「自分の手で直接でなくとも」遂行する立場にいながら、その立場から逃れなかったことについて、著者セレニーはシュタングルに質問する。
質問に関する答えは、同じ立場にあれば皆が答えそうな回答だった。

「もちろん今では、はっきりしていることですが、ナチスは強制収容所からの転属を希望した人間をすべて処分したわけではなかったー違いますか?あなたは、当時すでにそれを知っていたんじゃないですか?」
「あぁ、皆が皆殺されたわけじゃないことは知っていた。しかし、転属願いを出した連中の多くが、処刑されたり強制収容所送りになっていた。自分がどうなるかなんて、分かりっこないじゃないか。」


しかしセレニーはそれに対し、以下の自問を記している。正直だと思うし、かつ、ほとんどすべての人が明確に答えられない質問だと思う。

この言い訳はシュタングルの人生全体を貫く一つの論理ともなっていた。それは私が彼との面接を行っていたあいだ中、ずっと基本的な問いであり続けた。つまり、人間は、いったいどの時点で、他者のために自分の命を危険にさらす勇気を持つべきだという道徳的判断ができるのか?それは私にとっても、当時も今も答えられない問いとなっている。
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by rshingen | 2009-05-08 00:28 | その他全般
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